第5回対馬遠征 2006-2007

執筆:石兵衛

九州の北150kmに位置する長崎県対馬。その中央にあるリアス式海岸にかこまれた浅茅湾には、80cmに達する黒鯛がいるらしい。ビギさん、石兵衛は、幻の80cm級黒鯛(日本記録は確か71cm)を狙って5度目の、そして今回は2年越しとなる対馬遠征と相成りました。

12月30日 

2時過ぎ、朝から釣ってたビギさん(前日、というか当日の4時まで博多で飲んでたらしい)と釣研丸の上で「こんちはー」っと合流です。
午前の様子を聞くと、はやくも記録物の黒鯛をC&Rした、7cmだった、全然駄目だ、とのことです。
船はどんどん沖へ向かい、ありゃ?と思っているうちに浅茅湾の出口、外海に面した大口瀬戸に到着。



2ヶ月も黒鯛、くろだい、と念じていましたが、予想に反して完全にメジナ狙いの磯に来たようです。
でも、ここは滅多にのれない1級の磯。気合を入れて釣りを始めました。
でも、釣れたのはこれだけ。


日没までがんばるが、大きいメジナは釣れてくれませんでした。


そればかりか、今日の夕食のおかずも獲れてないのでした! (対馬釣史来初)
お刺身まではいかなくても、せいぜい塩焼きできるくらいのは釣れてもよかったのに・・・
こんな失意の帰船上、全日空のおじさんと再会しました。
型はいまいちながらも、たくさんの魚を釣ったようです。
その晩、夕食では、ビールや対馬焼酎やまねこをご馳走になってしまいました。
はじめは「すみません」「どもども」と、さしつさされつが、次第に無遠慮になり・・・・
結局、一升瓶が全部空いてしまったようです。就寝時間不明。

大晦日

7時頃出発する。まだ暗い。
我々が最初に渡礁する。ふっとみやると、見覚えがあった。
そう、ここは夏に来た時、真鯛に黒鯛、カモメを釣った磯だったのです。
午前中は、ビギさんが真ん中、石兵衛は入り江の奥、通称「2流3ポイント」にはいりました。



この2流3ポイント(写真は夏に撮影)は、一見、黒鯛なんか釣れそうにないとこです。
ただの入り江です。磯釣りって感じじゃないのです。
でも、船長お奨めで、なんたって2流3も釣っている場所ですから。
と、期待して釣りを始めました。
 − この間数時間 − 
(やっぱり)なんにもいないようでした。ふたりとも、あちこち釣り場を移動します。

午後になり、やっとこカワハギ、メジナを捉え、おかず用にと天然生簀にキープ。
ところが、上空でそれを見ていた鳶が、魚をかっぱらおうと、空襲し始めたのです。
「こらー!」と脅すが、全く聞く様子はありません。
結局、大事なおかずのカワハギをとっていきました。  あーあ
とその時、なんの因果か、同じような25cmくらいのカワハギちゃんが釣れてくれました。

その後しばらくし、横をみると、ビギさんがなにやら大物と格闘しているではありませんか!
「タモいりますかー?」
返事はありません。
魚は寄ったが、竿は折れんばかりで、抜きあげられそうにないので、Helpに向かいます。
海面を割ってでたのは、ビギさん談「最初見たとき、まんぼうかと思った」の、でかいウスバハギ。
メジャーをあてると、62cm。外道とはいえ、大物です。



− この間数時間 −

夕方、入り江出口を二人並んで狙う。
今か今かと、とうとう日没直前の5時20分。
と、ビギさんのウキが すーーーと沈む。ついに来た!
加速しながら沈むアタリが黒鯛っぽい!
が、なんと最初のひとのしでハリスを飛ばされてしまいました。

その3分後、今度は石兵衛。
「喰ったー!」とやり取り開始しました。
その途中、リールにレバーブレーキとかいうのがあったのを思い出し、よしときゃいいのに、ちょっと使ってみたのです。やっぱり慣れない事はしてはいかんのです。少々自由になった魚は糸を根に巻いてしまったのです。
しばらく緩めたり、引っ張ったりしましたが、諦めました。

石兵衛は、仕掛け全損、残り時間も15分程しかなく、泣く泣く終了、ビギさん1本に託します。
撤収準備をさっさと終え、ビギさんのお手伝いです。 コマセを撒きながら、ウキを凝視していると・・・・    ほんとにきました3発目。 すかさず びゅっ!
あわせた瞬間から、大型の魚とわかりました。竿は満月、リールからはジジィッと糸が出ていきます。
最初の突っ込みをしのげば・・・と思った瞬間、痛恨のラインブレイクってやつです。ぷっつんです。

「ビギさん、ハリス何号っすか?」
「えー、1.5号です。」
げ、まじっ?と思い、あわてて太ハリスをビギさん仕掛けに結び、船が来るまでがんばってもらいました。
もうウキが見えないくらいの暗くなった磯で・・・



こんなことがあるのでしょうか?
大晦日に10時間以上も粘って、最後の15分に大型3発。それも全部ばらしてしまうとは。

さて、その夕餉は、ウスバハギの薄造り、鍋料理、カワハギ/メジナの姿造りとなりました。


ウスバハギ、釣っても海にお帰り願いたくなるような顔ですが、かなり美味しい魚でした。
この日もビールとやまねこをたくさん飲み、海の幸で鱈腹になり、4半世紀ぶりに、ニューイヤーカウントダウンを聞くことなく、寝床に入りました。

元旦
雑煮に、御節料理と、釣研丸も正月モード。
出船前に、初詣。賽銭箱も、参拝客もない神社で大漁祈願です。
神様は「元旦からセッショウするのか?」と思っていたに違いありません。
午後から昨日バラシまくった磯に渡り、間詰時を待ちましたが、何事もおこらなかったのです。何事も。
でも、初詣を一緒にした別のお客さん、それも帽子を被ったまま参拝してたのに、メジナの45cm釣ってました。

下は、釣り場周辺の地図です。



1月2日
あっという間に最終日がきました。釣行記もここまでくるとへとへとです。
魚が釣れませんと、書く事もないですし。昨日分など実質1行で終わっちゃってます。
さて、この日のポイントは、幅80m程度のワンドで、沖にむかってどんどん深くなる磯でした。
でかい黒鯛がいそうな感じです。



朝のうちは、25cmちょっとのメジナが数匹釣れてきました。時々、アジも釣れました。いい感じです。
コマセを撒き、仕掛けの長さを調整しながら黒鯛を狙います。
しかし黒鯛は釣れることなく、10時、11時と時間は無常にも過ぎていきました。今日は5時前の飛行機で帰らなければいけませんので、釣りは2時で終了です。
12時にもなると、だんだんとアセリがでてきて、最後には健全神経症?の症状があらわれました。
イ.錯覚でウキが沈んだように見える。
ロ.餌が残ってくると、大型黒鯛が回遊してきた!と妄想をはじめる。
ハ.ちょっとのウキの変化で心臓がバクバクしだす。
と、最後の2時間が瞬く間に過ぎていきました。

なんということか、4日間で黒鯛ゼロという結果になってしまいました。今でも信じられません。

感想
たとえ釣れなくても、4日程度では釣りに飽きないことが良くわかりました。
何日釣りをしたら飽きるのかを1回でもいいから試してみたいと思います。