済州島 駐在ラスト&お誕生日釣行記

日 時 :2012年3月21日(水)22日(木)
メンバー:石兵衛 ソンオ 海彦 エトゥ ねっち(文)
釣り場 :済州島モスルポ港出港 馬羅島周り
釣り物 :ジギングで狙うヒラマサ(韓国名ブシリ)



<プロローグ>

2006年4月にソウルに赴任し、丸6年が経とうとしている。いよいよ自分にも帰任の社命が下った。
元々海の中小物釣りが好きであまり大物やルアー系に興味が薄いのだが、とはいえ釣り好きの一人としてデカイのが喰った時の興奮は忘れられない。
ということで韓国駐在最後の釣行は済州島でのブシリ(ヒラマサ)ジギングと決めた。
22日は私の誕生日でもあり潮回りも大潮で最高ということで、同じくこの春帰任の決まった石兵衛副会長と二人で平日の済州行きを企てていたところ、徐々に参加者が増え、結局5人での釣行となった。

<前夜祭>

前日21日の夕刻、金浦空港の出発ロビーで缶ビールにつまみで一杯やりながら全員集合を待つ。



済州空港到着後、いつものおばちゃんタクシーで40分かけてモスルポ港へ。宿泊は最近の定宿ナンガン旅館とここの紹介のモーテルに分宿。
この釣行は毎度このパターンで釣行前日の晩に着いて仕掛け等を準備し、近くのコンビニやスーパーで 買ってきたつまみで一杯やって寝るというのがお決まりのパターンだが、 それでは味気無いということで仕掛けの準備は各自ソウル出発前に済ませ、 宿到着後は近くの食堂でちゃんと夕食を食べようということにしていた。
済州特産の黒豚焼肉等候補はいくつかあったが、ナンガン旅館の隣にある店がなんとなく気になる。 看板にはハングルで「串焼き専門店トンアリ」と書いてあるが、外に漏れてくる明かりも少なく、 なんとなく場末の薄汚れた店を連想させる。一同躊躇した挙句に思い切ってドアを開けて入ってみると、 なんと意外に明るくきれいな韓国風居酒屋で、しかも奥行きがかなり広く、地元民と思われる韓国人客も結構入っている。
不安な顔で入店した我々の表情も次第に晴れる。焼きとり風の串焼きを始めキムチチゲやブテチゲ、フライドチキン等々メニューも豊富。 さっそく生ビールを頼み、明日の豊漁を祈念して乾杯!



つまみには、砂肝炒め物、ギンナン、おでん、ポテトフライ、タットリタン等を頼んだが、味の方もまぁまぁ。 お店はアジュンマが一人で切り盛りしており、一度にたくさん注文されても手に負えないためか、2〜3品注文しても 「量も多いし、まずは一つ食べてみてからにしろ」と勝手に注文を削られる始末。といってもこのアジュンマは愛想よく、 つまみの間が空くとみかんやハンラポンを出してくれる。自分の旦那がNO.1だと繰り返し主張していたのが印象的であった。 なぜそんな話になったのかよくわからないが・・・ソンオ氏にとって気になる存在であったことは確かである。



味もまずまずの暖かい料理で済州島のソジュ「ハルラサン」もぐいぐい進み、釣り話にも熱が入る。時計を見れば既に1時過ぎということで明日に備えて(少し手遅れ)お開き。各自自室へと戻っていった。

<本番実釣>

明けて22日水曜日。わたくし40代最後の誕生日。
7時に港に着くと金兄船長が笑顔と片言の日本語で迎えてくれる。予報では3時頃から風雨が強まるとのことで、午前中勝負と腹を据える。
岸寄りの進路でゆっくりと進むことおよそ50分。釣り場である馬羅島近海に到着。空はどんより曇っているが、まだ雨の気配は無い。



8時過ぎ、船長の合図で一斉にジグを送り込む。水深は約60m。満潮は11:30頃とのこと。
ベテラン石兵衛は大艫に陣取り、ジギングとトップの両狙い。尚且つ他のメンバーの様子を常に気にかけ、サポートする姿勢にはいつも頭が下がる。ミヨシのソンオは電動、手巻き両軸と3本の竿を準備し、それぞれ異なるタイプのジグを装着してコマメに、かつ精力的にしゃくりを繰り返す。海釣暦の長い海彦も経験に裏打ちされた勘と吸収力でどんどんコツを飲み込み、粘り強くしゃくりを繰り返す。初心者エトゥは恵まれた体力を武器に軽々と、しかしスムーズなしゃくりを続ける。この人、魚を釣る何かを持っていらっしゃる。かく言う私は、相変わらずリーダーも結べず、道具類は石兵衛におんぶにだっこのいい加減さ。楽して電動で力任せにしゃくりをくれる。
開始後数十分が経過。あまり生体反応も感じられず目立った動きもなかったところで最初の1尾が私にヒット。久しぶりのヒラマサを味わう間もなくわりとすんなり上がって来たのは60cmクラスのヒラマサ。この後、ソンオ、エトゥに立て続けに同サイズが揚がる。二人とも小さいと言って写真も撮らない。が、結局この時が本日唯一の時合?とよべるものであったとは・・・
ここからは辛い辛抱の時間が続く。



暫くして私の竿に魚信。よし!と思ったのも束の間。なんとも軽い。電動ですいすいと上がって来たのは40cm足らずのイナダ。といっても私としては済州、いや、韓国初のブリゲットではあった・・・
次のヒットはソンオジャーク。色々なジグで色々なしゃくりを試し続ける彼に釣りの神様がほほ笑んだのか、はたまたミヨシ釣り座のご利益か、先程と同じ60cmクラスを釣り上げる。
船は馬羅島の北面沿いに移動しながらの釣りを繰り返す。
ふと気付くと船のすぐ近くに鳥山が立った。カモメが水面から小魚をくちばしで挟んで舞い上がるのがよく見える。さっそく石兵衛がキャスティングの準備をして鳥山方向に投入!・・・と思いきや、なんとルアーだけが大飛行。慌てて結びが甘かったそうな。高額ルアー紛失も痛いが、絶好のタイミングを逃したことも悔やまれる。
釣りを開始して3時間以上が経過。私の左ひじはゴルフエルボー?なのか、関節に痛みが出てずっとしゃくり続けるのがしんどい。しかも、10年来連れ添ってきた電動丸が、私の帰国に合わせるかのようにご臨終・・・。急遽ソンオタックルを借用して釣行を継続した。
船が大きく移動し、海底に大きな岩礁のあるポイントで駆け上がりを流し始める。
推進60mから40mまでしゃくり、船長が仕掛けを上げろとの合図を出した瞬間に、先程のイナダとはかなり異なる大きく重い魚信。私の釣り人生でも1、2を争う抵抗。電動&手巻きでなんとか残り10mまで巻いたが、やはり90cmクラスを超えると電動はお手上げらしく機能停止した。根が有るから急げ!でもゆっくり巻けという船長の難しい注文に苦笑いしながらも、なんとかポンピングで挙げたのが97cm程度のヒラマサ。



諸先輩から見るとヒラマサとしては決して大きくは無いかもしれないが、私個人としては記録物であり、誕生日と韓国ラスト釣行を飾るには十分満足いく釣果であった。
結局このヒラマサを最後に魚信は遠のき、風雨も強まって糸もかっ飛び釣りに成らず、2時前に早揚がりとなった。



帰港時には海は大荒れ、横殴りの雨で台風の様な状態。身体も冷えたので沐浴湯でゆっくり風呂につかる。 その後ナンガン旅館のとにかく人の良いご主人の好意にすっかり甘えてカップラーメンを中心に各自持ち寄り食料やいただき物ミカン等で遅い昼食をとった。



5時に旅館を後にし、7時過ぎのフライトで金浦へ。
9時過ぎには二村洞に戻って、そのままいつもの「庭」に集合。昨夜も1時過ぎまで飲んで今日は終日暴風雨でジギング、そして飛行機で帰ってへとへとかと思いきや、懲りない我々はここでも午前様・・・ソウルの夜はラストスパート!



<反省会>

釣行翌日の23日(金)。22日当日では夜遅いし魚もまだ旨味が出ていないということで、1日おいた23日の晩に改めてメンバー集合し、拙宅ねっち亭にて反省会に突入。
昨夜帰宅後に魚を捌いてくれた海彦のお陰で料理もはかどる。
刺身、フライ、潮汁、頭&カマの塩焼き、握り寿司、照り焼き等の魚料理オンパレードに特別参加芋盛り氏お手製のポテトサラダと煮物で一同満腹。個人的にはヒラマサは大味で美味くないと思い込んでいたが、石兵衛の言うとおり大型は想像以上に美味いということがよくわかった。




ねっち亭での反省会もこれが最後ということで、持参酒、キープ酒を問わず片っ端から片付けてゆく。食事終了後も最近流行りのハイボールであくまで大笑い。ソウルの夜は延々と続いてゆくのであった・・・

<エピローグ>

6年間、クラブのみんなとよく釣って食べた。最後に思い出に残る大物も釣って食べられた。まだキョンジの大物や消化不良のアユもやってみたいし、得意のはずのヒラメも韓国でまともに釣っていない。バスも一度は行こうと思いつつ後回しで終わった。ウロはもう飽きたけど・・・^^; 思い残すことは多々あれど、6年もの長期間飽きずに韓国で過ごしてこられたのは釣りクラブと釣りのお陰。心から感謝します。
ナクシクラブ、マンセ〜!!アンニョンヒゲセヨ!

(おしまい)

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