第2回対馬遠征

参加者:2流さん、ビギ(記)

日程
●8月3日
6:00 KTX ソウル発
8:50 釜山着
10:30 釜山発
12:00 比田勝着
14:00 釣研丸着
15:00 釣行
19:00 納竿
20:00 食事
●8月4日
5:00 起床
6:00 食事
7:00 釣行
12:00 納竿 食事
16:00 釣行
19:00 納竿
20:00 食事
●8月5日
5:00 起床
5:30 食事
6:00 釣行
10:00 納竿
11:00 釣研丸出発
11:30 厳原着
15:30 厳原出港
19:40 釜山港着
20:30 KTX 釜山発
23:50 KTX ソウル着


ある決意をもって


ソウル発 KTX 朝6:00 …。ロクジ…。


何とか、早く入国する方法は無いか。比田勝港に向う船中、我々は一計を練った。
前回の経験より、船の定員のわりには入国審査のカウンターが少ないので、船を下りるために順番待ちをしていると、すごく時間をロスする。
早く釣り場に行きたい我々は知恵を絞り、フライング作戦にでた。
到着予定時刻の10分前に右舷出口付近に陣取る。
船員が“外に出ても良いですよ。”と言う前に甲板に半身を出す。
船と桟橋に歩み板が掛かるや否や、猛然とダッシュ。
韓国人数名に先を越されるも、入国審査で逆転し、入国ワン・ツー・フィニッシュを決める事ができた。
ま、そんな子供じみたことで喜んでしまう我々はやはりケンチャナヨコンビである。

さてさて、

魏志倭人伝によると、対馬とはこんな国だったらしい。
『山険しく深林多く、道路は禽鹿の径みちの如し。千余戸あり。良田なく海物を食して自活し、船に乗りて南北に市糴(してき)す。』
※市糴−売買すること

今回到着した比田勝港は上対馬町にあり、目指す釣研丸は南の方の美津島町にある。
車で1時間40分の道のりと聞いていたが、小さい島なので、もっと早く着けるんじゃないだろうかと少し疑っていたりしていた。
が、実際に車に揺られて実感したが、魏志倭人伝にある通り、山・山・山。平地は無く車は急峻な山を縫うように走り1時間50分を要して釣り宿に到着した。
少し疲労感を覚えながらも無事到着し、玄関に入ると、親方が“暑かったでしょう。”と笑顔で迎えてくれた。

着替えをして、釣りの準備をする。
暑い、暑い。
撒き餌を準備するだけで、汗が滝のようにながれる。

再び浅茅湾へ

3週間ぶりの浅茅湾。釣研丸に乗船すると、メラメラと闘志がわいてきた。今回こそは鯛を釣ってやる。鯛を釣らいで帰れるものか。
磯に渡してもらって、竿をセットする。
撒き餌をまく。
親方の話を思い出す。“手返しを早く。”
潮の流れは早くない。仕掛けを投入して、しばらく様子を見る。当たりがなければ素早く巻き取って餌をつけて投げる。
何回も繰り返していると、メジナ・ボラ・その他小さいのがボツボツとは釣れるが念願の鯛は来ない。



“お迎えの時間は7時ですよねー?”
“うん。”
2人ともギリギリまで粘るつもりだ。何せ前回の石兵衛劇場を目の当たりにしてるんだから、時間前には終わられない。
粘りに粘る2人。
でも結果はご覧の通りでした。


メジナかと思って船宿に持って帰ったら、“イスズミだから料理できません”と言われた。
いい引きだったけど。




一日目、敢え無く撃沈。夕日がきれいだった。


ついに来た!

悶々として眠れない夜を過ごした二人。眠い目をこすりながら朝食のテーブルに着いた。
他の釣り客もおらず、2人で天気予報を見ながら無言でアジの塩焼きと味噌汁をかき込んだ。美味い。美味い。
寝不足ながらも、朝ごはんで元気を取り戻してきた。
出船の時間が近づいてくると期待と不安で胸がいっぱいになった。釣れなかったらどうしよう。いや、今日こそは絶対釣ってやる。
しばし一服して撒き餌の準備。また、ダラダラと汗がながれた。今日も暑くなりそうだ。

朝一で渡してもらった磯は、家族向きというか足場がよく荷物を置くところもたくさん。ゆったりと釣りが出来そうだ。
朝マズメをねらって、磯に降りるとすぐに竿の準備をする。まだ、鯛の顔を見たことがないせいか心にも余裕がない。
1時間ほど釣っただろうか、釣れるのはボラ・アジ・イワシなどのお馴染みさんばかりだ。
太陽が昇ってきて、先ずは2流さんを直撃する。ライフジャケットを脱いでも暑い。グレーのTシャツが汗で見る見る黒くなった。
10時ごろになっただろうか、2流さんついにダウン。振り向くと木陰でライフジャケットを枕に休憩。
ビギは長い間、日陰が続いていたせいかまだ余力がある。せっせと撒き餌をまいて手返し手返し。
しかし、釣れるのはボラ・アジ。
日が当たるようになってきて、ライフジャケットを脱いだ。それでも暑い。
そうこうしていると、2流さんが起き出してきて、仕掛けを投入。今回は粘るなぁ。
じっと我慢で雑魚を尻目にひたすら撒き餌をまく。
すると“来た!”と元気な声を発する2流さん。
2流さん “玉。玉。”
ビギ “はいはーい。”といって玉を差し出す。
黒鯛だ。ついに顔をあらわした。


2流さんおめでとうございます。
アタシは人の写真など撮ってる余裕なんて無いので、すぐに持ち場にもどるりたすら撒き餌をまく。



そして10分後。
2流さん “よし来た!玉玉。”
ビギ  “はいはーい。玉ちゃんですよー。”
またしても黒鯛だ!


2流さんおめでとうございます。

ますます余裕が無くなっていく自分に気付くビギ。焦る。
これはイカン。またボウズはアタシだけか。何とかならんのか。神様にお願いしてみようか。

すっかり冷静さを無くしたビギに声を掛ける2流さん。
“こっちで釣ったらー”


そうだ移動しよう。暑さなんかに負けてられない。


釣座を変えた。1投目。名前の解らない小さな魚がきた。
ここも駄目かなぁ…。




2投目、ウキが揺れる。“念仏鯛かな?”
“何か違うな。待て待て黒鯛は遅あわせだ!”と自分に言い聞かせて“壱・弐・参”で合わせた。

“あれれ、横に走る。アジかな。でもアジにしては大きいぞ!”
いつの間にか2流さんが駆けつけてくれた。
“あれれ、近づいてこないぞ。”
“何でしょうかねー。メジナの大きいのかなぁー”
下にもぐろうとする。むむ!ひょっとしてこれは!!
ついに来たんだ!鯛だ!!これは鯛の引きにに違いない。!
生まれて初めての鯛だ。やっと釣れてくれるのか。神様ありがとう。
慎重に慎重に取り込んでようやく鯛が釣れました。


2006年8月4日11時09分


そして、お昼の部は納竿となりました。良かった良かった。心にも余裕が戻った。
釣研丸に迎えられて、なんとなく自慢げに船に飛び乗った。
心地よい疲労感を感じながら宿に戻る。ビールを喉に流し込む。言いようの無い美味さだ。


あとは渋く

しばし昼寝をして、午後の部は4時から開始。
2人の疲れた顔色を見かねたのか、お兄ちゃんは涼しい磯に降ろしてくれた。
すぐ後ろが藪で蚊が多かった。
釣れなかった…。
疲れていた。
2流さんの目は充血し、帰りの船では一言も発しなかった。
太陽恐るべし。

翌日:8月5日最終日
5時30分に朝食をとる。多少の疲れはあるものの釣りをするには充分に体力は回復していた。
6時30分釣行開始。入り江の奥の更に入り江の崎に渡してもらった。
風は無く波も無い。


あれ?波が無い。



鏡面のような海に撒き餌をまくと水面に波紋が広がるのがよく解る。
いつもの要領で、手返し手返し。
雑魚が寄ってくるが、気にしない気にしない。
8時ごろまでは、小さいのがボツボツと釣れた。
今までは見なかった魚。マハタの幼魚(多分。あとで図鑑で調べた。)も釣れた。
100mくらい離れたところではボラがサーカスをやってるように飛び跳ねる。
魚影は濃い。
と思っていたら、いつのまにか撒き餌に雑魚が群がらなくなった。
2流さん “なんか魚信あるー?”
ビギ  “何にもないですねー”
不思議だ。さっきまであれほどいた雑魚が全く姿を見せなくなった。
しーんと静まり返った湖のような海は不気味なほどに動きを見せない。
お兄ちゃんに言われたとおりに、タナを探るように巻き上げてみた。
何回か繰り返しているうちに、“ぐぐっ”と引っ張るものがあった。
何だろう?久しぶりの引きに胸を躍らせたが、10秒ほどやり取りをして、ばらしてしまった。
手ごたえは良かった。
これで対馬遠征は納竿となる。あの魚は何だったんだろうか?

帰り厳原港までの車中で、お兄ちゃんは教えてくれた。
“小さい魚がピタッといなくなるときは、すごく大きな鯛が近くに潜んでるって事です。”
う〜ん。お兄ちゃん商売上手。
そんなの聞いたらまた来ないといけないじゃん。

※文中のお兄ちゃんとは、船を操作して渡してくれるお兄さんです。女将さんが“お兄ちゃん”と呼んでますので、ここでも“お兄ちゃん”としました。

黒鯛を釣って

2005年7月に鯛を釣り鯛、と宣言してから1年と1ヶ月。色々と回り道をしたが、ようやく念願の鯛にたどり着けた。
同行してくれた2流さん、ありがとう。
そして、ソウル釣りクラブの皆様、今後とも温かい目で見守ってください。
ビギは第2段階へと進みます!